木造家屋や木製構造物にとって、シロアリ、褐色腐朽菌、フナクイムシ、キクイムシといった環境有害生物は大敵です。
これらの被害を避けたい、しかしこれまでの薬剤を使うのは一寸心配だとお思いの方に、環境木材研究所が実用化に成功した木材保存剤『キトエース』の処理をお奨めします。
キトエースの主成分は『酢酸、キトサン、銅』の3種類だけであるため、環境汚染や公害を引き起こす心配はほとんどありません。
この保存剤は、これまで『キトサン銅複合体』あるいは英語のChitosan Copper Complexの頭文字から『CCC』と呼んできましたが、商品化にあたって、これを『キトサン系木材保存剤』と称し、商品名を『キトエース(またはCCC)』としました。
キトエースは、日本版グリーン・ニューディール政策の推進や低炭素化社会の実現など、新時代の要請に適った薬剤です。さらに、キトエース処理木材の利用拡大を図ることは地域資源の需要拡大にも大きく貢献します。
キトエースの製造には『山陰地方の地域資源』が効果的に活用されています。 原料のキトサンには鳥取県境港産のベニズワイガニ・キトサンが、また注入処理する木材も地元の木材を主に使います。
キトエースC 安全性の最大の特徴
キトエースの最大の特徴は、ヒトや動物に対する急性毒性が極めて低く、環境汚染の心配がなく、高い安全性と無公害化に大きく近づいた『薬剤』であるにもかかわらず、これを木材に注入するとその耐久性は市販の保存薬剤(防腐剤)で処理したのと同程度に高く、しかもアレルギーフリーで、薬剤自体の寿命も長いなど、従来の木材保存剤に比べて、優れた特性をもっています。
キトエースC 汎用性・耐久性の最大の特徴
- シロアリや腐朽菌などの有害環境生物類による被害を10年間は気にせずに過ごせます。
- 通常の陸上設置条件下での使用はもとより、水辺や湿地などの多湿環境下でも使うことができます。
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『キトエース注入処理木材(グリーンエコウッド)』は、通常の陸上設置条件下での使用はもとより、水辺や湿地などの多湿環境下でも使うことができ、しかも設置した環境の土壌や水質を汚染することはありません。 それは、キトエースの主成分が水に難溶解性であるからです。 また、注入処理は、伐採直後の高含水率材(生材)にも処理できます。
その理由は、通常(既往)の処理薬剤は細胞内腔あるいは細胞壁中を通って、薬剤成分が繊維軸方向に浸透・拡散するのですが、キトエースの薬剤成分は水平方向に存在する細胞間隙を主たる浸透経路とするため(これを『ラテラル浸透』と呼ぶ)、細胞内や細胞壁中の水分に左右されないという特徴があります。
当研究所が独自に開発したキトサン系木材保存剤(キトエース)を加圧注入処理した木材製 品(グリーンエコウッド)を個人住宅内で使うことによって、お客さんの木造住環境に対す る不安(室内でのアレルギーの発症)やシロアリの被害を解消します。
■安全木材保存剤(キトサン銅系木材保存剤)の開発実績
◎経済産業省による開発研究への支援:
年度 | 実績 |
2007年 | 「キトサン金属複合体を基材とした環境適合型総合防汚剤の開発」、2005‐2006年度経済産業省地域新生コンソーシアム研究開発事業(2005年度; 2006年度)成果報告書(研究総括責任者 古川郁夫)、2005年度成果報告書、pp.1-73、2006年度成果報告書pp.1-74 |
◎文部科学省および(財)日本学術振興会による研究開発への支援
年度 | 実績 |
1993年 | 「キチン質を用いた樹木生体活性機能の改善と高耐久性木材の開発」、1990-1992年度科学研究費補助金(一般研究B)、研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)pp.1-52 |
1994年 | 「キトサンを用いた木材への耐朽性付与とその発現機構に関する微細構造的研究」、1992-1993年度科学研究費補助金(一般研究C)、研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1‐52 |
1997年 | 「キトサン金属塩系木材防腐剤による高耐朽性発現のメカニズム」、1995-1996年度科学研究費補助金(一般研究B、基盤研究B)研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-75 |
2000年 | 「ポストCCAとしてのキトサン金属塩系木材防腐剤の実用化」、1997-1999年度科学研究費補助金(基盤研究B(2))研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-50 |
2003年 | 「環境調和型木材保存剤としてのキトサン金属塩の安全性と効力持続性の確認」、2000-2002年度科学研究費補助金(基盤研究B(2))研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-55 |
◎鳥取県による研究開発への支援
年度 | 実績 |
1999年 | 「キトサン金属塩を用いた新しい木材防腐処理法の開発に関する研究」、(研究代表者 古川郁夫)成果発表講演テキスト、財団法人鳥取県工業技術振興協会、pp.23-28 |
◎優れた有用技術としてJICAによる海外への紹介
年度 | 実績 |
2007年 | 「キトサン金属複合体を基材とした環境調和型総合防汚剤」、Fo-01(林業分野-01)、 JICA農漁村開発分野での途上国における有用技術および大学との連携可能性検討報告書(プロジェクト研究)~農漁村開発分野での途上国における有用技術集:日本の大学の研究成果から~、pp.76-77、アイシーネット(株)出版、農村JR-07-26 |
◎キトサン系木材保存剤に関する依頼講演
年度 | 実績 |
1989年 | 「キトサンによる木材の改質」、講演会予稿集、 地場産業における木材機能化新技術、 島根県林業会館、pp.12-22 |
1991年 | 「キチン質を用いた木材の表面改質の試み」、日本木材学会・第12回木材接着研究会・ 第21回木材の化学加工研究会・合同研究会講演予稿集、pp.15-20、塩尻 |
2004年 | “Environmental friendly and high performance wood preservatives as a post-CCA” 、 |
2006年 | “Newly developed wood preservatives as a post-CCA”、Invited Speaker from China Academy of Forestry Science、Beijing |
■所有特許
所有特許 | 発明者 | 出願者 |
特開2003-227066:特願2002-26527 「植物繊維保存剤」 |
小林智紀 古川郁夫 |
小林智紀 |
特開2005-290583:特願2004-104066 「生分解性材料の劣化遅延剤及び生分解性材料の劣化遅延処理法」 |
小林智紀 大北拓史 古川郁夫 |
小林智紀 |
特願2004-361579 「木質材用フナクイムシ防除剤及び木質材のフナクイムシ防除法」 |
小林智紀 古川郁夫 |
小林智紀 |
特許査定完了:特開2007-302590:特願2006-131602 「有害生物防除剤の製造方法」 |
古川郁夫 大北拓史 |
古川郁夫 大北拓史 |
特願2009-277597 「有害生物防除剤」 |
古川郁夫 小林智紀 |
古川郁夫 小林智紀 |
■キトサン銅系木材保存剤開発の基礎となった研究業績
年度 | 研究者 | 業績 |
1988年 | 大森裕司 作野友康 古川郁夫 岸本 潤 |
甲殻類キチン質を用いた木材の改質(Ⅰ)、キトサンによって表面処理した木材の変色および接着性、 鳥取大学演習林研究報告、第17号、pp.193-204 |
1989年 | 山本 進 古川郁夫 作野友康 岸本 潤 |
木材腐朽菌及びカビの生育に及ぼすキトサンの影響、 広葉樹研究 第5号、pp.207-214 |
古川郁夫 | キトサンによる木材の改質(総説) 木材工業、44(12)、 pp.675-680 |
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1990年 | 熊谷 元 古川郁夫 作野友康 岸本 潤 |
キトサン処理木材の防かび性-キトサン処理及び硫酸銅との併用処理した木材の防かび効力の評価-、 鳥取大学演習林研究報告・ 第19号 pp.59-65 |
古川郁夫 山本 進 |
甲殻類キチン質を用いた木材の改質(Ⅱ)-キトサン処理木材の防腐効力の評価-、 鳥取大学演習林研究報告、第19号、pp.49-58 |
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Y.Kikkawa T.Kawata I. Furukawa T.Sakuno |
A Convenient Preparation Method of Chito-oligosaccharides by Acid Hydrolysis、 J. Fac. of Agriculture Tottori Univ.、 Vol.26、 pp.9-17 |
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古川郁夫 石原 肇 中下典昭 |
キトサン塗布処理木材の木材腐朽菌に対する耐朽性、 木材保存、16(5)、pp.245-252 |
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1991年 | 中下典昭 古川郁夫 川田俊成 作野友康 |
甲殻類キチン質を用いた木材の改質(第3報)低分子キトサン処理木材の耐朽性、 広葉樹研究、 第6号、 pp.161-168 |
1992年 | 李 鍾信 古川郁夫 作野友康 |
キトサン前処理後にCCA 系防腐剤を注入した木材中における防腐剤成分元素の微細分布、 木材学会誌、38(2)、pp.186-192 |
1993年 | 李 鐘信 古川郁夫 作野友康 |
キトサン前処理後にCCA系防腐剤を注入した木材のオオウズラタケに対する防腐性能、 木材学会誌、39(1)、pp.103-108 |
1995年 | 古川郁夫 | 「キチン・キトサン研究に関する情報」、木材保存、21(5)pp.19-21 |
小林智紀 古川郁夫 |
キトサン金属塩の最適生成条件と木材への固着性、 防菌防黴学会誌、23(5)、pp.263-269 |
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小林智紀 古川郁夫 |
キトサン金属塩の木材防腐効力、 防菌防黴学会誌、23(6)、pp.343-348 |
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小林智紀 古川郁夫 |
キトサン金属塩の防蟻性能、 木材保存、21(4)、pp.172-177 |
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小林智紀 河内葉子 古川郁夫 |
キトサン金属塩の木材注入性、 防菌防黴学会誌、23(12)、pp.741-744 |
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1996年 | 小林智紀 河内葉子 古川郁夫 |
キトサン金属塩の実物大寸法木材への注入、 防菌防黴学会誌、24(1)、pp.33-37 |
小林智紀 古川郁夫 |
キトサン金属塩の木材カビ効力、 防菌防黴学会誌、24(3)、pp.191-193 |
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2007年 | I.Furukawa K.Takao S.Shibata |
Assessment of Anti-biodegaradation Performance |
■書籍
年度 | 著書 |
1993年 | ス-パ-ウッド(分担)、第2章12節「キトサン処理木材」、pp.62-66、日本木材学会研究 |
2020年 | 古川郁夫・小林智紀:「キトサンと木材保存」、海青社 |
希釈前のキトエースC原液は写真のような荷姿(濃厚液状態)でお届けいたします。
●ご注文について
ご注文の最小量は100kg(3倍濃縮タイプ)が当方の希望です。
●価格
原材料価格の変動が大きいため、事前にお問い合わせください。
キトエースC原液(7倍~10倍希釈用液)の使用に際しては、指示どおり水道水で希釈したうえでご使用ください。
★薬液が直接眼に入らないようにお気をつけてください。
キトエースC原液に関する、詳しい解説や使用上の注意などは、三和インセクティサイド社製「キトエースC(銅複合体)」カタログよりご覧いただけます。
キトエースC原液、カタログに関するお問い合わせやご注文は、下記までお願いします。
試験室TEL 06-6443-6611 FAX 06-6443-6644
E-mail: tomonori.k@s4.dion.ne.jp
キトエースCを加圧注入した木材(グリーンエコウッド)に関する詳しい情報は、「グリーンエコウッド」パンフレットよりご覧いただけます。
上記写真は、グリーンエコウッド仕様の山小屋。(平成24年度鳥取県土木部より受注生産、鳥取県と岡山県の県境にある那岐山頂の山小屋)
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