ここには現在まだどのように応用に展開していいのか目処の立っていない未利用研究資源と卒論・修論などの未公開研究資源を示しました。
実は当研究所代表の古川の研究足跡のなかで最も初期の研究もここに収録されています。それは『木材細胞壁の破断面解析(セルウオール・フラクトグラフィー研究)』という、この研究を始めた頃(1970年代初頭)にはまだ誰も手をつけていなかった研究です。会社勤めを辞めて、修士課程でもう一度勉強しようと決心したのも、この新しい事への挑戦がしてみたかったからです。 幸い、新しい研究設備の導入にも立ち会え、恩師の原田 浩教授を始めとする原田研究室の皆さんの暖かいご支援と環境に恵まれ、それなりに成果も挙げ、応用への道筋も見え始めたのですが、残念なことにこの研究を鳥取の地で活かしきることはできませんでした。
しかし、若い頃の研究への熱気をいまだに感じることができるため、愛惜の念を込めてここに収録しておきます。それに引き換え、『キノコ』と『沙漠化』の研究は、鳥取の地にいたからこそできた研究といえるでしょう。
最後に、われわれの研究資源の原石である卒論研究、修論研究の1974年度以降2010年度までを挙げておきます。
受託年度 | 分析内容 |
1972年 | 佐伯 浩・古川郁夫・原田 浩:木材の縦引張破断面の走査電子顕微鏡による観察、 京都大学演習林研究報告、第43号、pp.309-314 |
1973年 | I. Furukawa・H. Saiki・H. Harada: Continuous observation of Tensile Fracture Process of Single Tracheid by SEM、 Mokuzai Gakkaishi、19(8)、pp.399-402 |
1974年 | I. Furukawa・H. Saiki・H. Harada: A Micro Tensile-testing Method for Single Wood Fiber in a Scanning Electron Microscope、 J. Electron Microscopy、23(2)、pp.89-97 |
古川郁夫・佐伯 浩・原田 浩:針葉樹単一仮道管の引張破壊形、 京都大学演習林研究報告、第46号、pp.170-178 | |
1975年 | 古川郁夫・佐伯 浩・原田 浩: 針葉樹単一仮道管の引張破壊過程、 日本材料学会誌「材料」、24(264)、pp.855-861 |
1978年 | 古川郁夫:晩材単一仮道管の二次壁中層の縦引張破壊部にみられる種々の破壊様式、 木材学会誌、24(6)、pp.369-374 |
古川郁夫:ノッチ付き木材試片の縦引張破壊に関する光学顕微鏡的研究、 木材学会誌、24(9)、pp.598-604 | |
古川郁夫:スギ分野壁孔の壁孔縁の細胞壁構造、 鳥取大学農学部研究報告、第30巻、pp.171-179 | |
1980年 | 古川郁夫:針葉樹材の縦引張破壊のフラクトグラフィー的研究、 鳥取大学演習林研究報告、第12巻、pp.1-118 |
1988年 | 古川郁夫:木質系材料の安全性に関する研究(Ⅰ)、フラクトグラフィー的手法による材質劣化度の評価、 鳥取大学演習林研究報告、第17号、pp.151-169 |
金田利之・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:木質系材料の安全性に関する研究(Ⅱ)、プレコンプレッションしたコナラ材の強度的性質、 鳥取大学演習林研究報告、第17号、pp.171-178 | |
1989年 | 古川郁夫: 木材細胞壁破断面の三次元解析. 木材学会誌、35(1)、 pp.58-62 |
年度 | 事例 |
1972年 | 原田 浩・古川郁夫:木材における接着層の熱劣化に関する電子顕微鏡的観察、 京都大学演習林研究報告、第43号、pp.320-323 |
1991年 | C.M.Crosby・A.R.K.Eusufzai・S.Chaff・Choi・I.Furukawa・K.Ramasubramanian・R.E.Mark・R.W.Perkins.Jr. : Implication of the Various Test Procedures in Evaluation of Mechanical Properties of Paperboard、 ESPRA (Empire State Paper Reserch Association)、No. 93、pp.1-21 |
古川郁夫・リチャード E.マーク・クレイ M.クロズビー・リチャード W.パーキンス Jr. : 機械抄き紙の塑性変形挙動とその構造的変化 紙パルプ技術協会誌、45(5)、pp.582-590 |
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1993年 | 古川郁夫: スリッププレ-ンによる木材の脆性化、 材 料、42(473)、pp.132-136 |
年度 | 事例 |
1977年 | 「単繊維の引張破壊の動的観察への光学・走査電顕法の応用」(分担)、pp.17-19、「木材およ び木質材料の組織構造的研究法の開発に関する研究」、1976年度科学研究費補助金(総合B)、 研究成果報告書(代表 原田 浩)、pp.1-36 |
1980年 | 木材の縦引張破壊の動的観察による形態的解析」、1979年度科学研究費補助金(奨励研究A)、 研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-35 |
1981年 | 「エレクトロンマイクロフラクトグラフィー的手法による木材細胞壁の層構造の解明」、1980 年度科学研究費補助金(奨励研究A)、研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-54 |
1982年 | 「フラクトグラフィー的手法による木質材料の素材および接着接合部の耐破壊性の評価」、1981 年度科学研究費補助金(一般研究C)、研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-35 |
1984年 | 「木材および木材構成要素のフラクトグラフィー」(分担)、pp.24-41、「構造用材料 としての木材および木質材料の強度と破壊機構に関する研究」、1982・1983年度科学研究費補助金 (総合A)、研究成果報告書(代表 浅野猪久夫)、pp.1-228 |
1986年 | 「繊維および紙における破壊過程と破壊形」(分担)、pp.36-40、「木材および木質材料の破壊過 程と破面形態の研究」、1985年度科学研究費補助金(総合A)、研究成果報告書(代表 佐伯 浩)、 pp.1-40 |
1987年 | 「木材および紙の破壊形態と破壊過程の定量的解析」(分担)、pp.82-90、「木材および木質材料 の破壊過程と破面形態の研究」、1986年度科学研究費補助金(総合A)、研究成果報告書 (代表 佐伯 浩)、pp.1-97 |
1989年 | 「SEMステレオ解析法による木材及び紙の破面形態に関する研究」、1987‐1988年度科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-3 |
1991年 | 「木材・木質材料の材質劣化に関与する微小欠陥部の形態とその力学的評価」、1989‐1990年度科学研究費補助金(一般研究C)研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-44 |
1992年 | 「木材組織破断面の3次元解析」(分担)、pp.134-145、「木材および木質原料の形態計測と 材質評価」、1990-1991年度科学研究費補助金(総合A)、研究成果報告書(代表 佐道 健) |
年度 | 事例 |
1973年 | 古川郁夫:走査電子顕微鏡の木材研究への応用、木材破壊形態の観察を中心に(総説) 木材加工技術協会誌 「木材工業」、28(1)、 pp.10-15 |
1981年 | 古川郁夫:木材の破壊のフラクトグラフィー(総説)、 木材工業、36(4)、pp.160-166 |
年度 | 事例 |
1981年 | 本田耕吉・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:シイタケ原木としてのコナラ・クヌギの水分挙動について、 鳥取大学演習林研究報告、第13号、pp.49-57 |
1982年 | 岸本 潤・林原 稔・作野友康・古川郁夫:スギ間伐材のシイタケ種駒適性ついて、 鳥取大学農学部研究報告、第34巻、pp.89-9 |
1983年 | 林原 稔・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:シイタケ菌によるコナラ・クヌギ材の腐朽形態、 広葉樹研究 第2号、 pp.143-152 |
本田耕吉・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:シイタケ菌の生育に及ぼす培地含水率の影響、 広葉樹研究 第2号、 pp.135-141 | |
1984年 | 岸本 潤・本田耕吉・古川郁夫・作野友康:シイタケ菌の生育とほだ木水分条件との関係、 鳥取大学農学部研究報告、第36巻、pp.43-53 |
田中康則・作野友康・古川郁夫・岸本 潤:シイタケ菌によるコナラ、クヌギの組成変化、 鳥取大学演習林研究報告、第14号、pp.149-161 | |
1986年 | 太田垣崇志・岸本 潤・作野友康・古川郁夫:シイタケ菌の生育に及ぼす金属板の影響、 鳥取大学演習林研究報告、第16号、pp.139-148 |
1987年 | 小林久也・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:爆砕木材の食用培地としての適性、 広葉樹研究 第4号、 pp.215-221 |
山崎順伸・古川郁夫・作野友康・岸本 潤:複合培養によるシイタケ菌の生育に及ぼす細菌の影響、 広葉樹研究 第4号、 pp.209-214 | |
A.Tsuneda・H.Koshitani・I. Furukawa:Micromorphological patterns of incipient wood decay by Lentinus edodes、 Rept. Tottori Mycol. Inst.、No.25、pp.36-48 | |
1989年 | A.Tuneda・I.Furukawa・H.Koshitani: Micromorphological patterns of lignin removal and cellulose microfibril degradation in Fugus crenata by Lentinus edodes. 日本菌学会誌「日本菌学会報」、30、pp.415-425 |
1991年 | I.Ohira・I.Furukawa・T.Sakuno: Phloem of Quercus serrata: Its Structure and Decay by Lentinus edodes、 木材学会誌、37(8)、pp.681~687 |
A.Tuneda・N.Maekawa・I.Ohira・I.Furukawa: Incipient decay of Quercus serrata sapwood by Lentinus edodes and its inhibition by an antagonistic hyphomycete、Leptodontidium elatis、 Canadian Journal of Botany 、69(12)、 pp.2797-2805 | |
1992年 | I..Ohira・I..Furukawa・T.Sakuno: Decay Patterns of Fibers and Parenchyma Cells in Sapwood of Quercus serrata by Lentinus edodes、 Mokuzai Gakkaishi、38(1)、pp.85-91 |
大平郁男・古川郁夫・作野友康: シイタケ子実体発生にともなうほだ木内菌糸の動態、 日本菌学会誌「日本菌学会報」、33、pp.325-335 | |
1994年 | 高畠幸司・作野友康・古川郁夫・川田俊成: 食用きのこの菌糸体成長に及ぼすカラマツ水抽出物の影響、 木材学会誌、40(10)、pp.1147-1151 |
1995年 | 衣田雅人・古野 毅・高橋 徹・古川郁夫: ハタケシメジの生態と木材腐朽性について、 木材学会誌、41(5)、pp.511-515 |
高畠幸司・作野友康・古川郁夫・川田俊成: ヒラタケの菌糸体成長と菌体外酵素活性に及ぼすカラマツ水抽出物の影響、 木材学会誌、41(9)、pp.844-850 | |
1996年 | 高畠幸司・作野友康・古川郁夫・川田俊成: カラマツ水抽出物添加培地におけるヒラタケ菌の初期成長時の酵素産出動向、 木材学会誌、42(4)、pp.427-431 |
高畠幸司・作野友康・古川郁夫・川田俊成: カラマツ水抽出物を添加した未利用培地基材によるヒラタケ栽培、 きのこの科学、3(4)、pp.9-14 |
年度 | 著書内容 |
1997年 | 古川郁夫(分担):木材科学講座12保存・耐久性、ISBN4-906165-67-2、第6章1節 保存処理と木材の組織構造、pp.131‐134、屋我嗣良、河内進策、今村祐嗣編、海青社、大津 |
年度 | 支援内容 |
1991年 | 「原木栽培法によるシイタケの発生量と品質の評価」(分担)、pp.31-36、「高度技術による農業生物の育種と評価技術の開発に関する研究」、1990年度鳥取大学農学部・特定研究成果 報告書(代表 長井武雄)、pp.1-42 |
年度 | 研究内容 |
1989年 | 「中国の砂砂漠における沙漠化の防止とその将来予測」(分担)、pp.64-81、「中国における砂砂漠の農業水利開発に関する調査研究」、1986‐1988年度科学研究費補助金(海外学術研 究)、研究成果報告書(代表 矢野友久)、pp.1-82 |
1992年 | 「中国の科爾沁砂地の動態解析」(代表代理・分担)、pp.67-77、「中国における沙漠化防止と砂丘地利用に関する研究」、1989‐1992年度科学研究費補助金(国際学術研究・大学間協力研究)、研究成果報告書(代表 稲田勝美)、pp.1-88 |
2004年 | 「木材資源としての砂漠緑化樹木の材質評価」、2001-2003年度科学研究費補助金(基盤研究C(2))研究成果報告書(研究代表者 古川郁夫)、pp.1-67 |
年度 | 研究内容 |
1996年 | 古川郁夫:「サヘルの村にみたものは・・、セネガルの樹と人」 Green Sahel 1996、OSAKA –SENEGAL report、pp.3 -12 |
1997年 | 古川郁夫:砂漠化と砂漠緑化(解説) 木材保存協会誌「木材保存」、23(5)、pp.247-250 |
1998年 | 古川郁夫:「リモートセンシング」、ハイテクインフォメーションNo.102、中国工業技術 ISSN0914-6911、pp.13-17 |
古川郁夫:「サヘルの木と人」、日本砂丘学会主催、市民公開講座「砂丘研究の明日をめざして(続)」、pp.7-14、鳥取市 |
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1999年 | 「アジア地域の耐乾燥性樹木の材質特性に関する研究」(研究代表 古川郁夫)、 Characteristics of Wood Quality of Woody-Xerophytes grown in Asia: Some leguminous woody-Xerophytes planted in China deserts(英文)、pp.163-167、 (財)田部アセアン謝恩財団研究助成、研究論文集(和文)、pp.19- |
年度 | 研究内容 |
1990年 | 古川郁夫・高橋雅裕: 鳥取地方のクロマツ枯損木の年輪幅変動解析、 日本年輪研究会誌「Tree Rings」、3、pp.8-16 |
1993年 | 古川郁夫・土井靖雄・安田武史: 本邦産数樹種の年輪気候学的特性、 Tree Rings、6、pp.12-17 |
1999年 | 古川郁夫・渡辺里奈:古代ケヤキの年輪幅変動による古気候の推定、 広葉樹研究、第8号、pp.29-36 |
古川郁夫・藤本多恵子:コナラ晩材幅の経年変化と気候変動との関連性、 広葉樹研究、第8号、pp.37-43 |
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2000年 | 黄 栄鳳・古川郁夫: 中国乾燥地域におけるポプラ造林木の肥大成長と気象因子との関連性、 木材学会誌、46(4)、pp.363 |
2005年 | 黄 栄鳳・古川郁夫・鮑 甫成・趙 有科: Response of tree-ring Structure of poplar to Climate Factors in the Mu Us Desert、 Journal of Beijing Forestry University、27(3)、pp.24-29 |
2008年 | D. Wang・I. Furukawa: Dendroclimatological studies of elm trees grown in China Desert Sand Dune Research、 54 (3 )、pp.139-146 |
年度 | 研究内容 |
1991年 | 森 昌弘・古川郁夫: MSS及びTMの反射スペクトル特性を用いた地表要素の分類、 日本砂丘学会誌「砂丘研究」、38(1)、pp.33-40 |
加藤雅人・古川郁夫・作野友康・川田俊成:中国の半乾燥地に生育するヤマハギの組織構 造的特徴について、 広葉樹研究、第6号、 pp.195-203 |
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1992年 | 古川郁夫: 中国における砂漠化の現状とその防止に関する事例的研究 、 日本砂丘学会誌、39(1)、pp.38-49 |
森 昌弘・古川郁夫: 中国北東部ホルチン沙地の沙漠化動態の解析、 日本砂丘学会誌、 39(2)、pp.12-19 |
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1999年 | 古川郁夫・大橋 元:中国の砂漠地域に自生するマメ科樹木の組織構造と材質特性、 広葉樹研究、第8号、pp.45-51 |
2000年 | 黄 栄鳳・古川郁夫:中国乾燥地域におけるポプラ造林木の肥大成長と気象因子との関連性、 木材学会誌、46(4)、pp.363-367 |
黄 栄鳳・古川郁夫:2種の中国乾燥地ポプラ造林木の道管要素長と木部繊維長の水平変動、 木材学会誌、46(6)、pp.495-502 |
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2001年 | 劉 洪慶・玉井重信・古川郁夫:塩水灌漑がギンドロの成長及び現存量に及ぼす影響について、 森林応用研究、10(2)、pp.37-44 |
2002年 | 井上真吾・古川郁夫:中国乾燥地ポプラ造林木の肥大成長と二次木部内結晶分布との関連性、 鳥取大学演習林研究報告、第27号、pp.39-51 |
2003年 | S. Yang・I. Furukawa: Anatomical Features of a Rayless Woody Xerophyte Haloxylon ammodendron、 Sand Dune Research、49(3)、pp.99-104 |
S. Yang・I. Furukawa・S. Katagiri・Y. Okuyama :Wood Anatomy of Tamarix austromongolica and T. chinensis from an Ecological Perspective、 Sand Dune Research 、50 (1)、pp.23-29 |
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斉 錦秋・古川郁夫: 中国半乾燥地産樟子松の肥大成長と仮道管長との関連性、 日本砂丘学会誌、50(2)、pp.67-73 |
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2005年 | 斉 錦秋・古川郁夫: 中国半乾燥地産アカマツと日本産アカマツの年輪幅と仮道管長の水平変動、 日本砂丘学会誌、52(2)、pp.37-42 |
2007年 | D. Wang・I. Furukawa:Radial Variations of Vessel Element Length and Wood Fiber Length of Elm Trees Grown in China Desert Sand Dune Research、54(1)、pp.9-16 |